聞き手・高重治香
「私は事務ですから」と、自分の仕事を自信がなさそうに語る女性に会いました。女性の就業先として最も多い「事務職」が、マニュアル化された補助的な仕事、というイメージをまとった時代がありました。実態はどうだったのでしょうか。今はどう変わったのでしょうか。「女性事務職」についての著書がある浅海典子・神奈川大教授に聞きました。
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ITや人工知能の発展により、事務職の需要が大幅に減るという予測を、政府などが発表しています。事務職にどんなイメージを持つかは人によってまちまちだと思いますが、総務省が定める日本標準職業分類では、多くの業界にまたがる幅広い仕事が事務職と分類されています。女性の就業先としては事務職が最多で、特に女性への影響を懸念する指摘もあります。
技術が人の仕事を奪うという議論は、これまでも繰り返されてきましたが、女性事務職の増加と、技術革新による仕事の変化の歴史を追うと、そう単純ではありません。
「OL」から一般職、そして派遣労働者へーー。女性事務職に対する社会の見方は、どう変わってきたのでしょうか。浅海さんがかつて企業の管理職研修の仕事で出会った2人の男性管理職の「女性事務職」への眼差しは、対照的なものだったそうです。
事務職は19世紀後半から急…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル